「いや〜・・・わるかったね」 「・・・まぁまず、理由を話せ」 先ほどいきなり友人がやってきた。 しかも女連れで。 本来なら俺がインターホンに出て、無言で切ってやってた所だったが、運悪く俺がトイレをしている時で、母親がでてしまった。 母親も普段なら「いない」といってくれるはずなのに、何故か家の中に上げてしまった。 今、友人連中は俺の部屋の床に座っている。 「ん〜・・・・俺もまだ良くわかんねぇ」 「あ?」 友人が言うには、いい感じの店に行っていい感じの非現実にぶつかった、とのこと。 「物語の幕開けっぽいだろ?」 「・・・・で、どういうこと?」 友人にこれ以上聞いても無駄と判断して、俺は友人の連れの女の方に話しかけた。 女は友人の話をぽけーっと聞いてるんだか聞いていないんだかわからない表情でいたが、俺が話しかけると「普通の」表情になってこっちを向きなおした。 ・・・まぁ、呆れてたんだろうな。 「えっと〜・・・」 女は言葉を詰まらせている。 「とりあえず、さっきのは魔法だったわけ?」 言ったのは友人。 「ぶっちゃけ俺にあんな体力があるとも思えないし、こんな時期にこいつの家がこんなすんなりと俺を家に入れてくれるわけもないし、何よりあれテレポートだろ?」 ・・・2コ目に関しては「わかってるならくるなよ」といいたいトコだが、3つ目の意見が出てしまっているので、なんとなく言う期を逃した感じがする。 因みに、本当にこんな時期に親が入れるとは思えない。 俺のことを知っている奴なら、誰もが「どう考えてもありえねぇだろ」というだろう。 現在、浪人生をしています。 しかも体調を崩していて、受験間近です。 「えっと〜・・・」 困った表情のままの女に、友人はその場で立ち上がり、ゆっくり近づいた。 「大丈夫。例え君が悪者だろうと可愛いから何でも許すよ。追ってきてた奴にも突き出さない」 女は困った表情のまま、こっちを見る。 「・・・コイツは本当にこういう奴だから、今言った事に嘘はないと思うよ?俺も深く巻き込まれない限りは、何もしない」 「はっは〜、既に深く巻き込まれてる感もするけどね」 「・・・いうなよ」 折角格好よく決めたのに、こいつは・・・・。 「えぇっと・・・・とりあえず、悪者の部類ではない、です」 この女から始めてマトモな言葉を聞いた気がする。 いや、内容は決してまともじゃないが・・・・。 「ん〜・・・じゃあ何で逃げてたン?」 「それは・・・」 なんだかとてもいいにくそうにしている。 とはいってもここまで他人に迷惑をかけているのだ、言うのが礼儀だろう。 勿論友人もそう思っているだろうから・・・・・。 「じゃあまぁ、きかなくていいや〜」 ・・・こういう奴だったなぁ。 「いやまて。じゃあ俺が訊く」 「うわ、深野サ〜ン。困っている美少女に無理やり発言させるのはどうなんすか〜?」 「俺はお前とはちげぇ」 こいつが一人でどうなろうと知ったこっちゃないが、少なからず俺のみならず家族も係わり合いを持ってしまった以上、そのまま放置しておく事は出来ない。 「ことと次第によっては、この場ですぐに追い出す」 「ふ〜・・・ん」 ここで俺は気付いた。 いま、柄津が笑顔を漏らしたことに。 「・・・お前何か既にした?」 「ん〜・・・まぁ、親御様が関わりを持たないよう、少しばかり工作はさせてもらったよ」 コイツの性格上、目標・・・今回の場合、俺以外を巻き込むことは信条に反している。 それに俺が家族を巻き込まれる事を嫌っているのもわかっているはずだ。 「まぁあんさんの性格は、裏返せば『制約さえ守れば巻き込める』ってかんじだしね〜」 「・・・・・・・・・・・」 こいつが言っている事はつまりあれだ。 俺は基本的に受身だが、面倒くさいことには動かない。 そんな俺に現状でのデメリットを見せつけ、面倒くさい状況に追い込む。 俺が「それは社会常識としてどうなのよ」と思うことが、こいつの目的だったのだろう。 俺はそういった状況になればその大きなデメリットの解消さえされれば、自分だけの被害ですむならとその状況を受け入れるだろう。 事実、今俺は「俺だけならともかく家族を巻き込むな」と思っていた。 「つうわけで、このこのせいか親御さんは俺の意見をすんなり聞いてくれたからね〜」 「・・・・・『それは』お前らしくないな」 「ん〜・・・・?」 「・・・で?本当はどうやってうちに入った?」 「いやまぁ、親御さんを通してだよ?」 ・・・一旦魔法というものがこの世にあると信じよう。 「ねぇ、うちの親には何かした?」 友人ではなく、女に訊く。 女は首を横に振った。 「・・・さて、もう一度だけ訊いてやろう」 「あ〜・・・・まぁ、俺の日本語能力万歳?とりあえず、犯罪行為はしていないよ」 「・・・・おーけー」 これ以上訊いても多分答えないだろう。 「まぁ、お前がきちんと話すまで俺は一切協りょー・・・・」 「協力はしない、かな?」 段々と逃げ場が減っている。 「いっても協力するとは言っていないし・・・」 「するにしても最小限、だろ?」 減っている。 「本当に最小限な」 「OK。最初から大きく巻き込むつもりはなかったさ〜。大丈夫、最小で抑えるさ、多分な」 結果として、協力することを認めてしまった。 「・・・マジ恨むわ」 「慣れてる。まぁ、恨むかどうかは、全て終わってからにしろや」 笑顔でそう言うと、柄津は少女の方を向き質問を始めた。
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